シルクロード絵描き旅

中央アジア・シルクロード。ひとりの絵描きの放浪記。

9/4-5 中国新疆-西モンゴル国境越え その2

 

 

 

unhuman.hatenablog.com

 

9/5 前記事の続き

 

 

 

 

 

満足に寝れぬまま、疲れた顔の私を乗せたバンはタカシケンの交易市へと到着。

空は私の気分とは裏腹に澄みわたり、強い日差しに目を細めます。

 

相変わらずうだつの上がらない私ですが、今日はまる一日かけて国境越えをします。

仕事するのは私じゃありませんが、大仕事です。 タカシケン行のバンにて日本人の私はいつもに増して奇異の目を向けられました。この国境を利用するのは地元民がほとんどで、旅行者はとても少数だそうです。

 

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 ①エレンホト-ザミンウード国境 ②タカシケン-ブルガン国境

 

 

中国・モンゴル間を移動する旅人のほとんどは北京とウランバートルを結ぶエレンホト-ザミンウード国境を通ります。エレンホト-ザミンウード国境には鉄道もバスもおそらく乗り合いバンだって通っていて、多くの外国人が往来しています。その中には日本人も毎日いる事でしょう。

 

それに対してここ西部の “タカシケン(塔克什肯)-ブルガン” 国境、

外国人はほとんど来ません。日本人などなおの事、年に一度も来ないと言われたくらいです。

調べた限りではこちらの国境情報を書いた日本語のサイトはほぼありませんでした。

 

 

中国モンゴル西部から首都へはかなり遠いため日程的にタカシケン-ブルガンの方が便利だったのと、エレンホト-ザミンウード国境はネット情報やブログをたくさん見過ぎて興味を失ってしまったのが、私がタカシケン側を選んだ理由でした。

 

少数派の道をみずから選んだので、不便や苦労で気分を損ねても自業自得というか、それはむしろ望むところなのです。この国境を選んだ時点で楽しくとかラクしたいとかそういう欲求もありません。ただこの地の様子を見てみたい、ゲンナリ気分と引き換えに興味を満たす、それだけなのです。

 

旅人はマゾ気質といえます。

 

 

 

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国境の開く時間帯は北京時間の10:30-13:45、15:30-18:45です。

ギリギリ午前中にはモンゴルに入り、今日中に乗り合いバンで西部都市のホブドまで行ければ一番いい。無理でも国境の町ブルガンに一泊して翌日ホブドに向かう。

 

さあ一日でどこまで出来るでしょうか…。

 

 

 

 

 

 

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“塔克什肯”の字が見えます。漢字はタカシケンの地名の当て字です、中国人に片言で『タカシケン』と言っても何のことかまず分かってくれません。
 

 

 

タカシケンは閑散としており交易のみの町という印象でした。無国籍的な浮付いた空気で生活感はなく、人が住むには明らかに殺風景です。キリル文字と漢字、果てはウイグル語のアラビア文字が乱立。行き来する民族はそれ以上。この非生活感がこの地の日常、陸路ならではの国境風景です。

 

 

 

 

 

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…と深く味わう間もなくバンはここを通り過ぎ、警察(公安)の前で私を降ろし、去ってしまいました。

 

青い空の下に生える四角い建物、手前には広いグラウンド、そして高い鉄格子の門。

ここは駐屯地の様で、グラウンドには訓練を受ける人々も見えます。

場末の国境に住みながら仕事する警察の方々…暗ーい想像をしてしまいます。

門に入ってすぐ会った警官はいきなりやって来たたった一人の日本人に物珍しそうな顔をしました。

彼らは英語が話せないのでまず『中国語話せる?』から会話は始まり、

パスポートを見せろ、荷物チェックをするというのでそれに従いました。

大バックパックとリュックサックの中身を見せた後、今度はカメラとスマホをチェック。警察の建物の写真は消すように言われました。

ここを訪れる外国人、特に日本人が珍しいからか一人また一人と軍服の警察官が集まってきます。スマホの翻訳機を使い関係ない質問をしてきたり、『へえ、これが日本のスマホかぁ~。』と私のスマホを操作したり…。

荷物とカメラのチェックがとてもゆっくりしているのでその間にどんどんと人が増えます。

警官はパスポートの顔写真ページと私の顔を撮影して、やっと解放してくれました。

『じゃあね、バイバイ!』と笑う彼らに返す笑顔は引きつってしまいました。

門を出て大きな溜息。ただ荷物チェックするだけで変な経歴はない危ない所持品もない、自分に非はないので不安は全くないけれどとても不快でした。

 

 

 

 

 

交易市に戻ってきました。

 

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午前中にはモンゴル入国できると踏んでいたのに、青河からの移動や警察の件ですっかり時間を喰ってしまいました。今は11時半過ぎ、ここから国境の手前まで行くバンは3時までないそうです。つまり3時間以上も待ちぼうけ…。

 

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交易市の真ん中に建つ『情報センター』のスタッフが乗り合いバンの手配をしてくれ、3時までここで待ちなさいと言ってくれました。

情報センターの建物は全部ガラス張りで、天井からはさんさんと光が入り中は明るく、日差しを遮るものがありません。仮眠も取れず何もしなくとも消耗してしまいます。

 

 交易センターの外の食堂でラグメンをゆっくりと時間をかけて食べ、時間を潰してからまた情報センターへ。

 

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交易市の敷地内

 

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 情報センターの内部。中国新疆&西モンゴル名産品やロシア製食品、酒類などが展示され、売られている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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やっと乗り合いバンが来て国境手前に着きました。しかしなおも国境はお昼休み。空くまで待ちます。バンの窓からも差す太陽に滅入った私は、もはや日なたにいる事が出来ず、オイル臭いトラックの陰にしゃがんでいました。

 

 

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奥に見えるのがタカシケン国境

 

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反対側の風景

 

 

 

 

 

 

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モンゴルへ持ち込む品々を出入国審査に通すため梱包する人々。

サングラスの女性がこの後私をホブドまで世話してくれる。

 

モンゴル語の会話なので全く聴き取れませんが、バンのドライバーが同乗した女性の一人に私をホブドまで連れていくよう話したようです。

モンゴル人の女性は私を見て承諾したようでした。彼女はサングラス越しに私に笑顔を向け、手招きのジェスチャーをしました。

『ホブド?』『ホブド。』これで伝わります。彼女もホブドへ行くついでに私を連れて行ってくれるのでしょう。

 

彼女が本当に助けてくれる・くれないに関わらずこのやり取りでどれだけ気が休まる事か。

こうして行く先々で助けを受けられる事の有難さを噛み締めつつ、どんどんと強まる西日にじっと耐えておりました。

 

 

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*** 

 

出国、入国には合わせて一時間半ほどかかりました。

 

荷物とパスポートのチェックを受けるだけなのになぜこんなにも時間がかかったかというと、モンゴル側の出入国署に外国人対応の職員がおらず、職員が呼ばれてから来るまでが遅かったためです。

現地の人々と違い、外国人は別室に連れていかれ入国の審査とスタンプを貰います。

 

後に人がつかえているわけでもないので、職員に手帳を渡してモンゴル語の挨拶を書いてもらいました。

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…こんな場所・シチュエーションでしなくてもよい事をお願いしたのは何故でしょう、よほど疲れていて脳が唐突におふざけしたくなったのでしょうか。

 

 

 

サングラスのモンゴル人女性は入国審査をとっくに終えていましたが、なおも審査職員と雑談しながら私を待ってくれていました。彼女はこの国境の職員とすっかり顔見知りの様でした。

商品の買い付けでもしているのか、国境近くの街は隣国から人が往来します。これは陸路国境ならではの光景でした。

 

 

 

 

 モンゴルの出入国署を出てめでたくブルガンに入った頃にはすっかり夕方になっていました。時刻は現地時間の16時半を指していました。

 

西日はさらに煌々と、私達を差していました。

 

 

 

 

 

続きます。

 

 

 

 

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