シルクロード絵描き旅

中央アジア・シルクロード。ひとりの絵描きの放浪記。

8/23 西寧からウルムチへ、寝台列車の車窓から

 

 

 

 

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17時10分発の私の列車は18時38分まで遅れました。

 

 

 

 

 

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列車はまず青海省の北側を横断します。省都西寧市と青海湖は、省の東の端っこに位置しており、青海省はそのほぼ全土が高原、山地です。そしてそこはチベット族の住まう処。

 

チベット自治区が西藏であるのに対し、青海省は青藏高原と呼ばれます。列車の車窓から見えるのはその名の通りの美しい草原でした。

 

 

 

 

 

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私の寝台の近くでは、10歳前後の丸坊主の兄弟が騒いでいました。弟の方は薄青く染まりつつある草原を無言で眺めています。兄の方は弟に逐一ちょっかいを出しています。

 

弟はついに叫び出し、兄に攻撃を仕掛けました。兄はそれをかわし更に彼をからかいます。

弟は怒り一層大きな叫び声をあげました。

 

 

 

 

 

 

 

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私は、彼がさっきまで見ていた方角を、同じように眺めていました。

北京時間ではもう20時をまわっていましたが、日はいまだ没しません。列車内の電光掲示板には車外の気温が表示されました。

 

 

8℃ - 。

 

 

夏も本番のこの時期に、今見ている高地は冬のような寒さなのでした。

ぽつぽつと白い動物の群れがありました。羊の放牧でした。

そういえば、たまに10棟ほどの小さな集落も見えます。集落の外れには、道教仏教か分かりませんが寺院も見えます。

外はゆっくりと薄暗くなっていきます。青色が世界を包みつつありました。

 

 

 

 

 

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青く薄暗い風景は、そのまま私の心象のようでした。

それとも風景に心が反応したのでしょうか。

 

暮れていく空に、人生の経過を重ねていました。

あっという間に20代も折り返しです、このままぼんやりしていたらあっという間に年をとってしまいます。

普通の毎日が退屈だと思う自分がいる、それとは別に、平凡な幸せを羨む自分もいる。でこぼこな夢を持ちながら、どちらに傾くことも肯定もできないまま歳月だけが現実味を帯びて迫ってきているのでした。そうして、大切な人の顔を順々に思い浮かべました。

 

私の目には涙が溜まっていました。

そのまま平静を保って外を眺め続けます。

 

 

 

 

 

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兄弟の母親が三番目の赤ちゃんを抱いたまま、二人をきつく叱っています。

 

『車両には他に100人のヒトサマがいるんだから、大人しくしていなさい!』

ど突かれてぶたれた兄は涙をこらえたような顔をし弟と一緒に母親の後を着いて席に戻って行きました。母親の背後で二人はまだいがみ合っています。

 

 

 

 

 

窓の外は真っ暗闇になりました。

 

 

 

 

先程までの沈鬱とした気持ちも景色と共にどこかに消え、私は寝台に戻り布団を被って休みました。

 

 

 

 

 

 

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