シルクロード絵描き旅

中央アジア・シルクロード。ひとりの絵描きの放浪記。

9/12 カザフ族のゲルにホームステイ(5、カイラット・カンと遊牧生活)

 

 

 

 

 

ホームステイのこれまでの記事↓

 

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イヌワシで狩りをする文化を持つカザフ族。

 

定住化の進んだ今日も伝統は受け継がれており、鷹匠の祭典『イーグルフェスティバル』は毎年盛大にとり行われます。

私がバヤン=ウルギーに滞在した期間はイーグルフェスティバルの直前にあたり、祭りの前の浮き立つような雰囲気や人々のらんらんとした目つきが印象的でした。

 

ここホームステイでもカイラット・カンのイヌワシを世話する様子を見ていました。

鷹匠文化は彼らのアイデンティティであり誇りである事をひしひしと感じ、彼らのマイノリティに対するその姿勢になんだか私も不思議と勇気づけられるようでした。

 

 

 

 

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カイラット・カンのゲルにもイヌワシが繋がれていたものです。

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毎日草原に消えてゆくカイラット・カン 。

イヌワシを従え、馬に乗って駆けたかと思うと

 

 

 

 

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りょうこも乗りな、と笑顔を向ける。

近郊の街へはバイクを使う。またがるアッサウタイは大はしゃぎの様子!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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薪ストーブの燃料は乾燥させた牛糞ですよ。

 

 

 

 

 

 

 

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ところで、前回載せたチーズの乾燥台に毛皮もぶら下がっていましたね。

 

 

 

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キツネのこの美しい毛皮の…

 

 

 

手入れはカイラット・カンの仕事。

 

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裏地の手触りをなめらかにするため、裏返した面にヨーグルトを塗っています。

いつものティータイムに使うスプーンで少しずつ、丁寧に、丁寧に…。

 

 

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ヨーグルトを塗るカイラット・カンのまなざしに見惚れてしまいました。

 

 

 

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ヨーグルトを塗った毛皮は、まず家の壁にかけて乾かすのです。

 

 

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ヨーグルトを塗った面はすべすべの手触りになります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『絵描き旅』という名ながら旅中あんまり絵を描かない私ですが…。

カイラットを眺めている時、急に降ってきた線画のイメージが彼の姿に重なり、慌ててスケッチブックを取り出し、珍しく手を動かしました。

 

 

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彼の佇まいは何をしても絵になりますね…。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アッサウタイとカイラット・カン達のやり取りは実の家族のように自然でした。

 

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ゲルに取り付けられたソーラーパネル(!)からのわずかな灯かりで、静かにチャイと昼食の残りを食べます。

 

 

 

食事のあと

カイラット・カンは毎日決まった時間に、古い古いラジオの電源を入れます。

ラジオ放送は全てモンゴル語ですが、毎晩9時から10時の一時間だけがカザフ語の番組なのだそうです。

たったひとつの裸電球が照らす薄暗い室内にぼそぼそと響く、雑音交じりの放送に聴き入るカイラット・カン。

 

私は静かに、その姿を瞼に焼き付けていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また同じ夜、カイラット・カンはカザフ族のたった二弦の民族楽器、ドンブラで弾き語りしてくれました。

 

 

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ドンブラの音色は二弦とは思えないほど鮮やかで、また遠くの空気をも絡めとるような奥行きを感じました。

そしてカイラット・カンの張りのある声によって、ドンブラの音色はまるで生き物のように立ち上がりました。

 

遊牧民の上手いとも下手とも分からない演奏と歌は、たまに外れる音さえも妙にリアリスティックで、どんな洗練された曲よりも私の心を刺し動かすのでした。

無骨な強さの中に美しさもまたあるような …。

そして全身から空気を伝って音を浴びているような感覚になりました。

 

 

私の知っている“音楽”とはまるで別物でした。

 

 

暗がりの中、私は彼らに内緒でこっそり大泣きを続けたのでした。

 

 

 

 

 

 

眠り際、掛け布団に紛れていた虫が私の服の中に落っこちたのに気が付きました。

 

6本か8本足の、固い羽根を持つ小指の爪の先ほどの小さな虫が私の背中で這いまわっていました。

潰すことなく追い出すべく、虫の進行方向に息を殺して集中していると、

ふと、自分がこの草原と一体であることを妙に実感してしまい、背中の感触に親しみを覚えてなかなか追い出せませんでした。

 

 

いえ、

人と自然が一体である事はこの虫が最初でなく、遊牧家族の彼らの生活姿から、ずっと感じていたものだと気付かされたのでした。

 

 

 

 

youtu.be

私が撮った動画です。

私が涙したカイラット・カンの歌声は入っていませんが…よろしければどうぞ。


 

 

 

 

 

 

9/12 カザフ族のゲルにホームステイ(4、バターを作るミニー・カン。)

 

 

こんにちは。

 

あっという間に12月になったなあと感じます。

ブログではまだ9月11日の記事なんですが…。

 

このタイムラグどうしましょう。 

久しぶりの更新は写真たっっっぷりでお届けしますね!

 

 

 

 

 

 

遊牧民の主な食事は乳製品です。

 

unhuman.hatenablog.com

 

 

毎日毎日大量に食べる分、日々せっせと作り続けなければなりません。

 

 

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手づくりバター『サリ・マイ』を作ります。

絞った牛乳を布袋に流して、専用の木棒でひたすら混ぜます。

どうやら何日か混ぜ続けるようで、ミニー・カンは毎日の空き時間にせっせと手を動かしていました。

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布袋ですが水分が漏れる事はなく、でもきっと密封容器より空気の混ざりがよいのでしょうね。

 

 

棒を上下にバシャバシャと振って牛乳を混ぜる作業はかなりきついです。

寒い屋内では腰も痛くなるし、気を紛らわす音楽もテレビももちろんないし。

ほんの興味本位で、私もちょろっとだけ混ぜ混ぜやってみましたがものの5分もしないうちに飽き、疲れてしまいました。

それを見てミニー・カンはにっこり笑い、

『ラフメット。(ありがとっ♥)』

 

と一言、私と交代し2、30分はバシャバシャやっていました。

 

 

 

 

 

 

 

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毎日夕方、放牧してたっぷり草を食んだ牛を連れ戻して、二時間くらいかけ乳しぼりをします。

 

でも外は北風が身に染みて寒く、私は5分たりともじっとしていられません。

彼女の乳しぼりの様子を眺めウロウロ、寒くなってはゲルに帰りストーブにあたってぬくぬく、また外に出て開けた景色を見渡しウロウロ…、落ち着きませんでした。

 

 

 

 

 

 

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乳製品作り以外にもミニー・カンは薪ストーブの手入れなどたくさんの家事をしていました。

 

 

 

 

 

 

 

ゲルの正面には枝を結び合わせござを敷いただけの簡素な台があります。これは乾燥チーズ『クルト』を作るためのもの。布をかぶせてあるものが干しているチーズです。

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綺麗に手入れされた毛皮もここで干されます。

 

 

 

 

 

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 そうそう、隣のゲルからこちらのゲルに、アッサウタイは毎日遊びに来るんです。

 

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そりゃああなた可愛いんだもの。

 

ミニー・カンもカイラット・カンも彼とよく遊んでいました。

遊び、話し相手をしつつ日々の仕事をこなすその所作になんとも癒されたものです。

 

私も小さい頃よく遊んでもらったなぁって。

 

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さあさあ、先ほど紹介したサリ・マイ作りの続きです。

 

 

 

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ミニー・カンが空気を入れ膨らましているのは皮袋か何か…ううんなんでしょう。

ここにバター『サリ・マイ』を詰めて貯蔵するんですって。

 

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充分に混ぜた牛乳を開けます。

 

 

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それを薪ストーブで煮詰めるんですね。

 

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混ぜて空気を含んだ牛乳は泡立っています。

 

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袋に入っていた牛乳はさっきの大鍋に入りきらず、鍋をもうひとつ使う大作業でした。

 

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1、2時間たっぷり煮つめたら、お次は素手で塩を混ぜ込み固めていく作業。

 

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分離して出てきた水分(ホエイ)はまたバケツに入れて別の料理に取っておきます。

 

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大量のバターを手ごねするのは見た目以上に力を遣うみたいで、ミニー・カンは途中で頭のスカーフをはぎ取り、こねる右手に体重をかけて黙々と作業していました。

 

 

 

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出来上がった『サリ・マイ』を、さっきの皮袋に詰めます。

 

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これでもかってくらいぎゅうぎゅうに、みっちり詰めるのがポイントのようです。

 

 

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貯蔵はなんとベッドの下で!!

鮮やかなアラフチの刺繍布をめくるとそこにはサリ・マイ以外にも生活道具が収納されていましたよ。

 

 

 

大鍋で牛乳を煮ている間にいただいたお昼ご飯は牛乳がゆでした。

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カイラット・カンは美味しそうに食べていましたが、お米と牛乳の慣れない組み合わせに私は苦戦しちゃいました…。

 

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サリ・マイを作った後も彼女の仕事はまだ続きます。

 

 

 

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バターから分離して出たホエイで、今度はナン(パン)をこねていました。

 

 

 

私は眺めながら、彼女の手際の良さにほれぼれしていました。

 

彼らにとって当たり前である毛皮や薪ストーブ、生き物のにおいや冷たい風、動き回る人々、素朴な食事とその豊かな味…諸々から草原の中で生きる人のたくましさをただただ感じたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

ミニー・カンに案内されるまま、お隣のゲルへ向かうと、

 

 

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繋がれているのは牛でなく馬。

 

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ミニー・カンやアッサウタイ家族は牛を飼っていますが、このご家族は馬飼いのようです。

 

 

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馬の乳しぼりをするお母さん。

 

 

馬、という事はですね…

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このご家族のお家にお邪魔していただいたのは馬乳酒!

生まれて初めて飲む馬乳酒…、感想は

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鼻を近づけると強烈な酸っぱい香り、そして口をつけると脳天を突き抜けるような酸味。喉を通過するときには思わず身震いするほどの風味…!

 

二口付けるのがやっとの私を隣で笑いながら、美味しそうにすするミニー・カンが印象的でした。

 

 

 

 

 

最近の事 -ウイグルに思いを巡らせています。

 

 

 

 

こんにちは。

長い事更新が出来ておらずすみません。

最近は実生活が忙しく、ブログに時間を割けるのは12月頃になりそうです。

 

 

 

 

 

 

バタバタした毎日を送りながら、一つ考えていることがあります。

 

 

 

私の大好きなウイグル族への支援を、なんらかの形でしたいなと思っております。

 

 

私はこの4年の間で2年おきに3回、新疆ウイグル自治区を訪れました。

4年前に初めて訪れた際に、ウイグル族のその独特の生活文化と自治区の自然環境に熱烈に惹かれたのを、今でもよく覚えています。

 

しかし彼らの生活環境は怖いくらいのスピードで変化していて、私は訪れるたびに違和感と胸の痛みやざわつきを感じていました。

 

 

ウイグル自治区に住んでいた事のある日本人女性(@mera_nam_chandnee さん)をインスタグラムでフォローしており、彼女の撮るとてもとても素敵なウイグルパキスタンにいつも感動しているのですが、先日その彼女もこう書いておられました。

 

www.instagram.com

土地も、雰囲気も、あまりにも変貌が激しく、私が住んでいた数年前の風景は、既に歴史と化しつつあります。

 

深く共感しました。

 

 

 

 

 

ウイグル族であるだけで海外渡航を制限される。彼らの母語であるウイグル語が小学校の教科から消える。街中にたくさんの武装警察が歩いている。他国のホームページがウイグル自治区では接続できない。…もっと、もっと。

 

自分のアイデンティティを生まれながらに否定される事、それは海外やその地域を実際に訪れなければ、どうしても肌には感じられません。

メディア情報だけでは伝わりづらく詳細には書けませんが、ウイグル自治区の変わり様は、私にとってもはや他人事とは思えなくなっていました。

 

 

 

 

日本にあるウイグル族支援団体のウェブサイトを周り、いろいろ考えましたが、団体に参加するのではなく私なりのやり方で、出来る事をやりたいと思っています。

といっても私は当面は日本に腰を据えたいと思っているので、それがどのようなやり方か、目指す先が何かはすぐにはわかりませんが、まだまだウイグル族に関わり続けたいです。

ブログ更新を再開出来るころにはちゃんと考えていこうと思っています。

 

 

思い立ってもなかなか実行できないたちなのですが。

ウイグル族やその他色々な旅先でもらった力や、温かさが原動力です。

 

 

 

 

 

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バタバタした毎日を送りながら、ウイグル族の事を考えながら、

同時にちょこちょこ、簡単なスケッチをしたり、舞踏の公演を観たり稽古に行ったり…、身体にアイデアを溜めていっています。

 

https://www.instagram.com/p/BbR3_7rhbam/

 

 

https://www.instagram.com/p/BboozYoBfmm/

大野慶人さんの舞踏を初めて観ました。.慶人さんは私の舞踏の師の師です。私はここ10ヶ月も稽古に行っていませんでしたが、昨日、人に舞踏を紹介するために自らも稽古場へ...😂😂😂なんという縁。舞踏への気持ちを持ち直し、翌日たまたまあった公演に足を運んだのでした。.慶人さんの宙に触れる指先がなんとも柔らかでした。音楽もとても自然に舞台に溶け合っていました。幸せな時間でした。.#light #brackandwhite #butoh #舞踏

 

 

https://www.instagram.com/p/BbwxcwVhEgf/

 

 

 

 

 

 

次の記事はまた、カザフ族の遊牧ゲルにホームステイするお話の続きを書いていきます!

 

今しばらくお待ちくださいね(^^)

 

 

 

 

★2017年のウイグル、参考記事★

 

unhuman.hatenablog.com

 

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ryoko.

 

 

9/11 カザフ族のゲルにホームステイ (3、アッサウタイ物語)

 

 

 

 

 

 

 

 

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アッサウタイは草原の真ん中の、名も知らぬ土地に住んでいた。

5歳のアッサウタイは1歳になる妹のコーサルと父、母と暮らしていた。

彼には上の兄姉が3人いるが、みな街の学校へ行ってしまっており一緒に住んでいない。

 

 

 

モンゴルでは子供は6歳から学校に上がる。遊牧生活をしている家庭では、子供はわずか6歳で親元を離れ学校の寄宿舎で生活するのだ。

 

アッサウタイも来年には学校に上がる。だから今年が家族と暮らす最後の時間だ。しかしまだ小さな彼はその事をよく理解していないだろう。

 

アッサウタイと同じ年頃の男の子はここにはいない。

辺りにはゲルが3つ、並んで建っている。だが妹のコーサルはもちろん、この地には3、4歳までの女の子しかいなかった。だから彼の遊び相手は彼自身だ。全身をばたつかせて、冷たい風吹く固い地面を駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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彼のゲルの隣にはカイラット・カン、ミニー・カン夫婦が住んでいた。

彼ら夫婦にも5人の子供がいるがもうとっくに巣立っていて、今は遠くウランバートルや隣町ウラーンホス、サグサイなど方々に散っている。寂しい夫婦二人にとっては元気なアッサウタイは実の子供のように可愛いものだった。

年々力が付いてきているアッサウタイの相撲取りの相手は、カイラット・カンやミニー・カンと決まっていた。

 

 

 

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カイラット・カン、ミニー・カンのゲルには世界中から旅人が泊まりにやって来る。

どのようないきさつか知らないが、カザフ族が大勢定住をしているバヤン=ウルギーという街から、旅人がジープに乗せられやって来、2~3日だけ滞在して帰ってゆくのだ。

こんな何もない草原にここだけ、さながらひっそり国際交流が行われているなんて面白いじゃないか。

 

 

 

 

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今度の旅人は日本人だった。黒髪に黒い目、小さい女だった。…わたしの事である。

まるで子供のようなその体躯でガイドも付けず、たった一人でやって来たわたしは、ミニーカンの淹れたチャイをやや緊張ぎみにすすった。

アッサウタイは、わたしを薪ストーブ越しから伺った。

 

 

日本人の女はアッサウタイにしきりに目を向けていたが、彼女は自分やカイラット・カンの話す言葉を何一つわかっちゃいない風だった。

 

 

 お互いはお互いに興味を示しながらも、両者はしばらく黙って座っていた。

 

 

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ともあれ、カイラットからもらった棒付きキャンディを二本ともいっぺんに口に入れて、アッサウタイはご機嫌だった。

アッサウタイはたぬき寝入りごっこが好きだ。キャンディを口からはみ出しながら嘘の寝息をたてているアッサウタイの足を、わたしは試しにつついてみた。

 

するとアッサウタイはいたずら笑顔で跳ね起き、場所を変えて、またたぬき寝入りをする。わたしは足音を立てないようにそうっと近づいてまたつっついた。

 

アッサウタイが笑い声を立てる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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アッサウタイのお母さんの表情からは、遊牧生活をしながら子を産み育てる事の如何が表れているようだった。

 

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小さなアッサウタイにも牛追いができる。

夕方には、放牧していた牛を集めて繋ぐのがアッサウタイの毎日の仕事だった。

自分より大きい牛を器用に追い立てて牛繋ぎ場に戻してゆく様…。

あどけない子供の姿にある、されど逞しい一面と、遊牧民の底知れない強さを、わたしは乾いた風に震えながら感じていた。

 

 

 

 

 

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そうはいってもやっぱりまだ子供だ。

牛追いの仕事そっちのけで、有り余る力いっぱい遊び周りたくなる。

 

 

 

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アッサウタイにとって牛糞はおもちゃだった。

古い荷車のタイヤの凹凸に牛糞を塗りつけて遊んだ。わたしがげっ、と嫌な顔をすると牛糞の付いた紙をこちらにかざして追いかけて来た。

 

タイヤの牛糞が指に付くと、荷車に座る妹のコーサルは、大きな目と眉を困らせて『取って。』とわたしにせがんだ。

コーサルの悩ましい困り顔に観念したわたしは、コーサルの指に付いた牛糞を素手で払った。

 

 

 

 

 

 

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力あり余るアッサウタイは、何をするにも全力だ。

無駄なことにもエネルギーをつかってあそぶ。

力を抑える事など彼は知らないのだ。

 

 

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コーサルの甘えた困り顔に参ってしまうわたし。

彼女の『あれして。』『これして。』には逆らえなかった。

 

 

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…可愛い可愛いアッサウタイやコーサルと遊んでいる時、

私はまるで彼らを主人公にした物語の中にいるような心地でした。

 

今、その時の写真を見返して二人の事を思うと、涙が出てきてしまいます。

 

 

 

 

 

 

9/11 カザフ族のゲルにホームステイ(2、家主とお家)

 

 

 

 

 前回の記事の続きです。

まだの方はぜひこちらからお読みください♪ ↓

unhuman.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

ホームステイ先のご夫婦を紹介します。

 

 

 

 

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立派な馬とイヌワシを携えるカイラット・カン

 

カザフ族は鷹(実際にはイヌワシが多い)を遣って狩りをする民族です。

馬にまたがり右腕にイヌワシ、厚雲と北風に冷える草原に立つカイラットの姿は見た事がないくらい野性的で、同時にとても美しかったです。

彼のその厚く垂れた瞼の奥の瞳は、どっしりと構えた者の温かさがありました。

 

 

 

 

 

全ての家族に一人は鷹匠がいるものなのでしょうか…?

鷹匠は認定を受けないといけないもののような気もしますが、どうなのでしょう。言葉がわからず質問は出来ず仕舞い。

カイラットは毎日、イヌワシを連れ馬で出かけて行きました。狩りをする時期は冬と決まっているそうなので、運動させに行っていたのでしょう。

 

 

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糸紡ぎをしているのはミニー・カン

 

遊牧生活は山のように仕事があります。

朝起きてすぐ家畜を放牧、薪ストーブの掃除、乳製品作り-サリ・マイを詰める袋を洗ったりクルトを大鍋で煮るなど、…彼女はひっきりなしに働いていました。

私が目を覚ませばチャイを煮出し、毛布を畳み綺麗にベッドメイクし直す。家にに塵や土が入れば即座にホウキで履く。このゲルには新品のものも水も十分にはないけど、とても清潔感があるのは彼らが頻繁に掃除をするからです。

 

 

 

 

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糸紡ぎももちろん仕事。

 

 

 

 

ゲル内を鮮やかに彩る刺繍『アラフチ』は見事なものばかりです。

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天蓋・カーテン付きのベッドにも緻密なアラフチのタペストリー。クッションもアラフチ。

 

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こんなに大きなアラフチも特に作家作品というわけではありません。

カザフ族の女性は皆この刺繍で各々の家の壁を飾るのだそうです。

 

 

 

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端には刺繍した歳やサインが入っています。古いもので1980年の日付の入ったものがありましたが、変わらず美しく保たれていました。

 

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鞄も手づくりのアラフチです。左に見えるのは動物の足で作られた鞭!

 

 

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面白かったのは、ベッドの天蓋部分に記念バッジがたくさん付いていた事。

 

 

 

 

 

 

 

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ピンと張った刺繍布には、模様の下絵(ハンコでしょうか)が捺され、その上をなぞって刺繍が成されていきます。

 

 

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彼女の作業はとても早くて、太い刺繍針を布にただ垂直に突き刺しているだけに見えますが、あっという間に黒い面が刺繍で埋まっていきます。

 

 

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赤くて可愛らしい棚がキッチンスペースです。

 

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作り途中の乳製品たち。

 

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道具類はゲルの骨組みに引っ掛けてあります。

こうして見ると鍋よりバケツの方が数が多いような気がしますね。

 

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二人暮らしのお家にも、チャイカップはたくさんあるのですね。

 

 

 





9/11 カザフ族のゲルにホームステイ(1、チャイと食事)

 

 

 

9/11、『ウルギー』から『ウラーンホス』郊外の遊牧ゲルへと向かいます。(地図参照)

 

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午前10:30、宿のオーナー ナズカの旦那さん“トト”が送ってくださいます。

トトのジープは『TOYOTA』!

 

トトはオオカミの毛皮をいくつも車に載せてからジープのエンジンをかけました。

もしかしてこの毛皮が私の宿代の代わりなのでしょうか…まだ知らぬ遊牧生活への期待が高まります。

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知的でかっこいい女性 ナズカの旦那さん、トトはコミカルで陽気な人柄でした。

トトは僅かな英単語を知るのみで、彼と会話はあまりできませんでしたが、

 

ニコニコしながら

『カザフ族の旦那探しに来たの?』とか、

 

私の言った、カザフ族はムスリムなんだよね、に

『ムスリーム!テロリースト!(笑いながら)』

 

 

 

…ひ、冷や汗の出る言葉が…!!!

 

 

 

トト、しっかり!!!

と心の中でつい叫んでしまいました。

 

 

 

 

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小山と言おうか、なだらかな起伏をいくつも越えて、1時間弱ドライブしたでしょうか。

 

 

 

 

 

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放牧された家畜とゲルが3つ建つだけの原っぱに到着しました。

トトがそのうちの一つのゲルの、背の低い扉をくぐります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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わあ…!

 

灰色の空の下、彩度の低い草原の白いゲルに一歩入るとこれです。

とても華やかです。

赤色を基調としてとりどりに彩られたここは、本当に家の中なのかと疑ってしまう程です。

 

 

 

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家主の男性が、トトから毛皮を受け取りました。

段ボールはシャープ製品のものじゃないですか。

 

 

 

 

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左に腰掛けているのがトト。

 

 

ゲル内と同じ赤い服の女性が、チャイを煮出してくださいます。

 

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新鮮な牛乳を薪の火にかけ、暖まってから少しの塩と茶葉を加えます。

 

出来上がったチャイをそのままホーローのやかんに移し、茶こしで茶葉を受け止めながら、皆のカップに注いでくれました。

 

 

 

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カザフ紋様のクロスがかかった、年季の入ったちゃぶ台に女性がお茶のセットを用意してくれました。

これがお客をもてなす際の一式なようです。

 

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この夫婦が私の今回のホストです。

トトは私を彼らに紹介しつつ、世間話を始めました。

 

カザフ語なので何を話しているかさっぱり分かりませんでしたが、私は彼らの仕草を見よう見まねでチャイをすするのに精一杯でした。

 

 

チャイと一緒に出された食事のほとんどは奥さんの手作り乳製品でした。

バターやチーズを揚げパンに付けて食べたり、バターをチャイに入れて飲んだり、揚げパンをチャイに浸したり…チーズをかじったりと…、

何通りもの食べ方をする、彼らの手つきのこなれた様子に興味津々の私。

そしてすぐに真似して食べてみます。

 

 

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バター『サリ・マイ』、これは馴染みのある味。普通のバターと同じ。

 

サリ=Sary はカザフ語(及びキルギス語)で黄色の意味なのです。

キルギスにはサリが頭に付いた地名がたくさんあったなあ。

 

 

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白く水っぽい『カイマク』は脂肪の少ない、サワークリームのような味でした。

 

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チーズ『アク・イルムズィク』、塩気のない、素朴な味のチーズはにおいもクセもほとんどない。食べやすいです。

 

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石のように硬くて大きいチーズ『クルト』。

 

 

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しょっぱい乾燥チーズ『カズ・イルムズィク』。ビールや白ワインが欲しくなる味です。

 

 

 

 

 

 

 

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彼らが話し込んでいる横で奥さんがまた料理を始めました。

 

 

羊肉とジャガイモを炒め、短い麺のようなものを入れて煮ると…

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これがカザフ族の伝統料理ベシュバルマクです!

 

ベシュバルマクを食べるのはこれが二度目。

二年前、文化の似ているキルギスにて初めて食べた時は

味もコクもない麺料理で口に合わず、ほとんど食べられなかったのですが、

こちらは塩とお肉の旨味が効いていて美味しかったです。

 

ベシュバルマクをインターネットで検索すると、

タマネギを使ったもの、麺が太いもの、肉をもっと豪快に使ったもの…等色々な見た目の画像が出てきます。

今回のと同じものを数日後別のステイ先の家庭でも頂いたので、このベシュバルマクはあくまでカザフ族の日常家庭で食べられるバージョンでしょうか。

 

 

日常的と言っても食材の豊かでない遊牧の地でベシュバルマクが出たのはこの一度のみでした。

朝は例のチャイセットで済ませ、夜は昼の残りとチャイセット。間食もチャイセットです。彼らの栄養の大半は乳製品から採っているという事…!

 

 

 

 

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お隣のゲルの男性と娘さんも呼ばれて、みんなでベシュバルマクをつつきました。

 

 

 

 

 

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食事の後、トトは帰っちゃいました。

言葉の全く通じない、私とホスト家族との3日間が始まります。

 

 

 

 

 

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9/9 遊牧民のゲルにホームステイがしたいです!

 

 

 

こんにちは。

バヤン=ウルギーからのエピソードは、

カシュガルぶりのこの旅のハイライトとなっていますが、

膨大な写真とエピソードをどう纏めようかと…まだ苦心しております。

 

自分で言ってしまいますが今後の記事・写真は必見ですよ~!

 

 

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 これまでの道程と周辺地理

 

 

 

 

昨夜遅くにトラベラーズ・ゲストハウスに来た私。

その夜は既に遅かったので、チェックイン業務は翌朝に回し、空いているドミトリーのベッドに即座に連れていかれました。

 

 

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朝に撮った写真。 

そう、この宿はゲルが客室です!

 

 

 

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トラベラーズ・ゲストハウスは敷地内に5~6つのゲル(客室)があります。

バヤン=ウルギーの宿を事前に調べて一番安かったためここに決めましたが、結果的にとてもいい宿でした。

 

それはまた追々書くとして、今日やる事。

 

 

郊外のツアー情報を集めます。

 

 

 

どういう事かというと…

モンゴルの旅行事情として、乗馬やゲル泊、ゴビ砂漠へ…等観光するためにはウランバートルや西部バヤン=ウルギー等基点となる都市でツアーを組む必要があります。

物価や宿泊費は安いモンゴルですがこの観光費がバカ高いため、貧乏なバックパッカーは基本的にツアー以外の滞在費を節約したり、人を集めるか集団に入りツアー代を割ってそれをしのぐのです。ツアー代に含まれるのはガソリン、ガイド料等で一人だろうが4人だろうがその総額はさして変わらず、大人数であるほど料金も安くなります。

 

 

 

 

 

 

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バヤン=ウルギーのアクティビティは、中国との国境近くにあるアルタイ=タヴァン=ホグド国立公園へのトレッキングやハイキング、また年に一度のカザフ族の大祭典『イーグルフェスティバル』が売りとなっており、どちらも欧米人に大人気です。

 

『イーグルフェスティバル』は毎年開催日が違い、2017年は9月27日なので私はお目にかかれませんが、今回はウイグルの犠牲祭に合わせて日程を組んでおり、カザフ族の鷹匠の祭典ははじめから予定から外して来ています。

もう一方のアルタイ=タヴァン=ホグド国立公園のトレッキングはツアー内容によっては考えていますが、私はアウトドアより現地の人の生活が見たいのです、遊牧民族カザフ族を。

 

 

バヤンウルギー郊外のカザフ族ゲルにホームステイするツアーはあるでしょうか。

 

 

 

という事で今日は、街歩きしつつ数件ある旅行会社を訊ねてまわる日です。

 

 

 

 

 

…と、宿の門を出、100メートルほど歩いたところで誰かが後ろから走って追いかけてきました。

 

 

同室に泊まっていた男性でした。伸ばした細かいカーリーヘアを後ろで束ね、髭を生やした大男。黒髪に黒い肌、薄茶色の知的な目、彼の名は ハサン

フランスでデザイナーとして働くエジプト人。

 

『…君はツアーを探しているんだろう!?』

 

『僕もそうだ、僕のツアープランに同行する旅人を探しているんだ。

アルタイ=タヴァン=ホグド国立公園へハイキングに行くんだけど…。』

 

『私がしたいのはカザフ族の生活文化を見る事だから、あなたのプランと合うかは分からないけれど。あと、本格的なトレッキングは私には出来ないかな。』

 

『僕もトレッキングはしたくないから、高所までは登らない予定。せいぜいベースキャンプに泊まって、周辺をハイキングするくらいだよ。』 

 

 

 ハサンが道端で語り出した彼のプランは、3~4日かけてハイキングしたりカザフ族のゲルに泊まるものでした。空腹で彼のプレゼンが頭に入らなかった私は、今夜帰ってからゆっくり話し合うことを約束して、その場は彼と別れました。

 

ハサンはここに数日滞在し、他のゲストハウスや旅行社をまわって人に声かけ、同行者を募っているといいます。まだ一人もメンバーを集めていない模様です。

 

 

 

 

 

 

 

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さて、街やバザール、住宅地を一通り散歩して戻って来た私は

目を付けていた旅行会社へ向かいました。 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ブルーウォルフトラベル (ブルーウルフトラベル)

Blue Wolf Travel

ここの存在は、日本にいる時から知っていました。

乏しいモンゴル西部の情報収集に検索をかけたら、思ったよりしっかりした(失礼!)デザインの英語サイトが出てきたのです。

サイトには観光情報はもちろん、ウルギーの地理、カザフ族、西モンゴルのイントロダクションも書かれていてとても重宝…。

 

日本語サイトまであります。こちらの方が便利です。

http://www.mongol-altai.com/

 

ブルーウォルフトラベルはオフィスの敷地内にゲストハウス(ゲルテント)、レストランも併設しており、モンゴル西部最大手の旅行会社のようです。

 

 

 

 

オフィスに入り、スタッフの女性にカザフ族の遊牧ゲルに泊まりたい旨を伝えると。

ウルギーから30キロ郊外の小村サグサイを勧められます。

ここは遊牧民ではないけど地元家族のゲルにホームステイ出来るよ、との事。

 

サグサイの村情報は事前に得ていました。小さな村ですが車をチャーターして訪問できるそう。

気になるお値段は…

 

サグサイ村ホームステイツアー

 ガイド料 一日あたり30ドル

 車レンタル一日あたり70ドル

ガソリン代     15ドル

---------------------------------------------

『ざっと一日あたり115ドルね。

 

 

うーん高い、けどやっぱりその位はするのかぁ。

何日のツアーにするかは自由で、一日当たりの金額なようです。

宿泊代は別途かかるかと思いますが、この金額を数人で割ればどんどん安くなるという事です。

 

しかし考えてみると、ホームステイを数人で行って、現地語ガイドも付いて、だと現地の人と1対1で関わる機会は少なくなりそうですよね。

そもそもこの旅程に同行する仲間はおろか旅人との交流もまだ出来ていません。

 

 

ブルーウォルフトラベルにお礼を言いまた来ることを告げ、一先ずここを後にしました。

ゲルへのホームステイは一人で行けたら一番いいな。

 

 

 

 

私は、宿に戻ってきてオーナーの住む家のドアをノックしました。

写真右に見えている赤い屋根がオーナー家族の住まいです。

 

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トラベラーズ・ゲストハウスもツアーをアレンジしてくれるのですが、

当時の私はそれを知らず、家族経営の単なる宿だと思っていたのです。

 

 

 

女性オーナーに、なんとはなしに相談しました。

『カザフ族の生活が見たいんだけど、どんなツアーに参加したらいいですか?』

 

さらにブルーウォルフトラベルで紹介されたサグサイツアーの概要を説明し、

『私はトレッキングとかアウトドアアクティビティには興味がないので、ゲルに泊まってただ生活する彼らを観れればいいんだけど、少しでも安いツアー会社をご存知なら…。』

 

 

 

 

するとオーナーの女性は不敵な笑みを浮かべながら、こう返しました。

 

『私がアテンドしたげるわよ。場所はウラーンホスの郊外の何もない草原、そこに暮らす遊牧民の家にステイできるわ。サグサイ村は既にツーリスティックよ。』

 

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『私の夫が車で連れて行って、二泊そこで過ごし、三日目の午後夫があなたを迎えに行く。夫が迎えに来るまであなたはたった一人で草原のゲルに泊まるの。』

 

『あなたにはガイドは必要ないと思う。家族の子供があなたとコミュニケーションを取れるわ。』

 

『二泊三日で食事も全て付いて147ドルで行けるわよ。一日50ドルかからないってわけ。』

 

一人っきりのツアーで一日50ドルくらいなら高くありません。

更に彼女は続けます。

 

 

『私の妹家族の家にステイしてもいいわよ。トルボという村の家(ゲルではない)に住んでいるわ。そこは二泊三日で35ドルでいいわよ。』

 

 

えっ、そんなに安くていいんですか!

 

彼女はまたも不敵な笑み(そう表現したくなる笑顔なんです)を浮かべて言いました、

 

『私はね、以前旅行代理店で10年間ガイドをして、7年前にはこのゲストハウスをオープンさせたわ。つまり17年旅行業に携わってるの。』

 

 

彼女の名前はナズカ(ナスカ)。

貫禄たっぷりな彼女のかっこいいその雰囲気はとても魅力的でした。

ツアーは願ってもない、遊牧家族のゲルへ、ただ “放り投げられる” だけの旅。

 

 

そうそう、こういう事がしたかったんです!

 

 

 

ナズカの提案したプランは申しぶんありませんでした。

それ以上に、少し話しただけなのに、彼女の醸し出す心強さというか格好良さにすっかり虜になってしまいました。

 

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 ウラーンホス郊外の遊牧家族のゲルへホームステイ2泊3日、

その後、小村トルボのナズカの妹家族の家に2泊3日。

 

決まりました

 

 

 

 

 

という訳でブルーウォルフトラベルはまたの機会に…。

そして朝話したエジプシャンのハサンはというと、街でツアー同行者を見付けてきたみたいです。

 

 

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ハサンは、同行する仲間を宿のゲルドミトリーに連れてきました。

名前は

『ガブリエッッラ。』

 

イタリアンアクセントの強いイタリア人男性。

どこの宿に泊まっているかと訊くと、なんと郊外の河原にテントを張って滞在しているんだそうです。

 

 

 

 

 

 

私は興味本位で買って持て余したザクロを、ガブリエラに向けました。

これ知ってる?

 

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ウイグルで飲んだザクロジュースですが、実の方は食べたことがなく、

ここウルギーで見つけたので買ってみたのです。

 

ガブリエラは知らないと言ったので勧めてみるも…。

 

 

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『酸っぱいし種はあるし、砂糖を入れてジュースにしないとだね!!』

と顔をしかめました。

 

 

 

 

 

ハサン・ガブリエラの二人は早速翌日9/10に、

私は一日遅れの9/11に、

それぞれここバヤン=ウルギーを発ったのでした。

 

 

 

 

トラベラーズ・ゲストハウスのオーナー ナズカ

旅人のエジプト人 ハサン、イタリアン ガブリエラ

 

この三人はまた記事に登場するのですが、それはまだ少し先の事。

 

 

 

 

@ryokomeguro 写真・画像および記事の転載はご遠慮ください。